「学ぶ」の語源は有名ですが、元々は人の真似るからきていると言われております。
真に似せることから真似るや真似ぶが生まれたとされております。
誠に習うから学ぶが同時に誕生したとも言われております。
人は模倣の連続で学習をし、進化してきました。
なので模倣や真似る事は本当の学習と言えるかもしれません。
上手くいっている人を模倣し、上手くいかない人の真似をしない。
どちらも真似ぶ事なんじゃないかと思ってしまいますが。
そして、世の中は大体マッチングで新しい物ができていると言われております。
ちょっと前にkindleで購入したビジネス書籍に「ももいろクローバーZ」の話がありました。
これもマッチングで、アイドル×ヒーロー戦隊×プロレスだそうです。
それぞれの良いところを真似て、マッチングさせ新しい物を作り出したと言う事ですね。
そして、それぞれのファン階層を引き込んだとのことです。
そう考えるといいところ取りの模倣のマッチングが新しい何かを生み出すことになるのかもしれません。
そんななか、実行には移せておりませんが、何かいいマッチングはないかと考えていた時にニュースで株式会社モンテンの話を見ました。
株式会社モンテンが営業する「おなかすいた」という店舗があります。
ここのコンセプトが面白いなと思いましたので紹介させていただきます。
元々はホームセンターだったのですが、そこで何の事業をしても上手くいかず借金を90億円背負ったときから「おなかすいた」の歴史は始まります。
そこで、打開策はないかとホームセンターに農家から直接野菜を直売する野菜直売所「わくわく広場」を作ったそうです。
このわくわく広場は仕入をしません。
お店に並んでいる野菜は、農家さんの持ち物で、わくわく広場はその場所を提供してるだけに過ぎないのです。
どういうことかというと、朝、農家さんが自分の畑でとられた野菜を持ってお店にやってきます。
そして、自分で値段をつけて、自分で棚に並べて行きます。
売れ残ったのものは、農家さんが持ち帰ります。
大きく言えば、レジをするだけがわくわく広場の店員がやる事なのです。
そして、農家さんは、他の農家さんが作られた野菜を、自宅用に買って帰られますので、出品者兼購入者になってるわけです。
わくわく広場としては、場所提供と、レジ管理などの販売代行をすることで手数料の20%を頂いているそうです。
これの凄いところは、在庫を持たないので廃棄がない事です。
そして、陳列や品出しを農家がやってくれる。
人件費も浮くのですよね。
そのため野菜を保存する必要がないので冷蔵庫も電気代もかからないと言う事です。
自動的に商品が置かれ、自動的に回収され、手数料が入ってくる。
さらに販売者すら顧客になりうり、中間マージンがないので安く新鮮な野菜をお客に提供できる。
農家も中間業者にマージンを取られるより高く野菜が売れます。
そして形の悪い売り物にならない物も売る事が可能です。
絵にかいたようなWIN-WIN-WINのビジネスで、まさに三方一両得となっております。
これはシステム化されているので水を汲みに行くのではなく、水を引いてくるビジネスだと思えます。
これで一気に伸びたのですが、ここからが私が面白いと思ったのがモンテンのバイヤーの話です。
「おなかすいた」は野菜の直売と調味料と加工食品しか置いていないと言います。
で、その加工食品なのですがオリジナル性があるものしか置いていないのです。
というのも、「おなかすいた」は全国から集めた1000種類以上の隠れた逸品を売る専門店なのです。
バイヤーが地方のスーパーなどに回り、その地域でしか売っていない隠れた名品を見つけてきてそれを直接仕入れて販売する。
都内では「おなかすいた」でしか手に入らない調味料や加工食品が多数おいてあり、それもバイヤーが地方の小さい店舗を回り試食し、これはと思った物だけを直接仕入れて店舗にて販売しています。
本来なら地方の地元の人しか知らなかった隠れた名品が溢れていると言う事になります。
その名品のファンになった顧客が毎回買いに来ますし、口コミで新しい顧客を増やす事ができます。
なかなか面白いコンセプトだなと思います。
でこのモンテンの髙品謙一社長の座右の銘は、「チャンスは、ピンチの顔してやってくる」だそうです。
馬鹿と天才は紙一重という話と同じで、結果の前に過程はちょっとした誤差なのかもしれませんね。
高品社長は最初90億円の借金があった際に、借金を返そうと、儲かりそうな新事業に、次から次へと手を出していきます。
カラオケボックスに始まり、マッサージ店、立ち飲み居酒屋と世の中で流行っていた店をそっくりそのまま真似しては出していったそうです 。
「まず真っ先に赤字を削減しなければいけないので、とりあえず計画して、なんとか形になったらオープンさせて、すぐ次の店を考える。かなり急いでました」
しかし、真似をされた本家が怒って髙品の店の前に出店。二番煎じの店はあえなく閉店という繰り返しに。
そしてこう気付きます。
「いろいろなビジネスをやってきて、どれも成功とはいえない結果に終わりましたが、そこで気づいたのは、人の真似をしないで、オリジナルの売り場を表現することが一番大事だということでした」
なるほどと思わされます。
この時、私は考えました。
オリジナルティは0から作りだす物ではなく、先ほどの「ももいろクローバーZ」の話と同じで組み合わせです。
そうマッチングになります。
このモンテンの「おなかすいた」は主婦層やスーパーに来る人が対象でした。
そして、この情報を知っている人はどのくらいいるでしょうか。
例えば、飲食店に応用できないかと思ったのです。
真似や二番煎じはそのままでは通じないかもしれませんが、組み合わせを変えれば新しい業態になります。
実際に「おなかすいた」に行って、売っている商品はすべてバイヤーのフィルターがかかっている物なのですから、それを購入し、仕入れ先を調べて、直接仕入れて、販売先を主婦ではなく飲食店専門にしたらどうだろうかと思いました。
地方のオリジナル商品を提供する飲食店。
なかなかないと思います。
そしてスナックやBARと言いますか、食ではなくお酒メインのところで強みになる食品があればそれなりにリピーターになりうるんじゃないかと。
例えば歯科医を営業していて思いますが、コンサルが食べていけるのは歯科医が物を知らなさすぎるからです。
飲食店のオーナーなどが世間の流れやニュースにどれだけアンテナを立てているでしょうか。
おそらく知らないかと思います。
そして商品の入れ替えもあるでしょうから、毎日のように「おなかすいた」に通って商品を全部把握し、商品知識のストックを増やしていき、販売対象を変えれば、それこそBARに回るような酒問屋さんとコラボレーションするのもいいかもしれません。
もし規模が大きくなればメーカーにOEMでラベルだけ貼り変えてもらう交渉もできるかもしれません。
真似ぶことは重要だと個人的に思っておりますし、本家からしたら目の敵にされるかもしれませんが、顧客対象が異なればそんなこともないのではないかと思っております。
とちょっと前に考えたけれども仕組み化するのがなかなか難しいと思ったネタを記載してみました。
興味がある方は「モンテン おなかすいた」で検索し、店舗に行ってみてはいかがでしょうか。
虜になってしまうような隠れた地方の名品に出会えるかもしれません。
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