少し前に読んだ書籍にミニマックスの話が掲載されておりました。
ミニマックス戦略とはゲーム的な状況において、「自分の損失を最小限にとどめるための戦略」です。
私たちは日々多くのゲーム的な状況に直面しますが、その全てにおいて自分にとって最大の利得が得られる戦略を選択できるわけではありません。
しかしその場合、一番損失の少ない選択肢を選ぶことができれば、最悪の事態を回避することはできます。
したがってミニマックス戦略は「次善策(セカンドベスト)」としての戦略になります。
ミニマックス戦略が有効になるのは、総和が0になる「ゼロサムゲーム」においてです。
ギャンブルにおいてよくある話で、例えばJRAの開催する競馬ではトータルでは、馬券を購入するファンからJRAが開催料の25%を取り、残りを競馬ファン同士で取り合いです。
この総和は決まっておりますので、こちらもゼロサムゲームとなります。
ゼロサムゲームにおいては一方に10の利得があるとき、もう一方には10の損失があります。
つまりプレイヤーの得点(+10)と失点(−10)の総和(サム)が0になるゲームです。
ゼロサムゲームで自分がミニマックス戦略を選択した場合、相手の利得は最小限になります。
このような「相手の利得を最小限にとどめるための戦略」がマックスミニ戦略です。
以前に中学生の頃、国語の古文で吉田兼好の徒然草を学んだかと思います。
その中に双六の達人の話がありました。
これがまさにこのミニマックス戦略について記載されています。
徒然草 第百十段
双六の上手といひし人に、その手立を問ひ侍りしかば、「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりともおそく負くべき手につくべし」と言ふ。
道を知れる教へ、身を治め、国を保たん道も、またしかなり。
現代語訳
双六の名人と呼ばれている人に、その必勝法を聞いてみたところ、「勝ちたいと思って打ってはいけない。負けてはならぬと思って打つのだ。どんな打ち方をしたら、たちまち負けてしまうかを予測し、その手は打たずに、たとえ一マスでも負けるのが遅くなるような手を使うのがよい」と答えた。
その道を極めた人の言うことであって、研究者や政治家の生業にも通じる。
私が読んだ書籍の著者はこのミニマックス戦略をマーケティングの中に応用しておりました。
それが小さい範囲での最大を目指す事でした。
ランチェスター戦略にも似ていますが、NO1理論と言いますか、マーケットを細分化していき、その細かい分野でのトップを目指すと他のライバルが参入できないため、結果的に生き残れる話です。
実例として挙げられていたのが花王のヘルシアです。
今でこそ特保のお茶など当たり前になりましたが、当時は健康茶はヘルシアのみで、お茶市場を席巻しました。
それまで存在してなかった健康茶というカテゴリを自ら作り出した結果、ライバルが不在の分、その自らが作り出した分野で必然的にNO1になったのがヘルシアでした。
お茶という市場を細分化していき、健康茶という細かい市場を区切って作り出したことに勝因があります。
これを自分事にあてはめて考えてみます。
例えばなのですが、私がT本さんに唆され、他の方の副業のコンサルタントをすることにしました。
この場合、マーケティングにおけるミニマックス戦略で言えば、そもそも副業コンサルタントを名乗っている人があまりいないのですが、横浜の60歳以上のみ限定のコンサルタントになると、細分化され、その分野であれば必然的に突き抜けたプロになれる可能性があります。
対象を絞り込み、細分化することで各個撃破(ランチェスター戦略)を行い、トップになれる分野を増やしていく。
マーケティング的にはそれが正しいのではないかと思わされます。
60歳以上の分野でトップになったら次は50歳代のみ限定の分野に行けばいいのですし。
そのためには昨日記載したペルソナの話がまた出てくるのでしょうけれども。
会社における戦略もそうあるべきかもしれませんが、規模が大きくなると小回りが利かなくなります。
細分化したどの分野でのトップを狙うか、しっかりしたマーケティング部がある中小企業は存在していないと思われるので、自社の強みを考えてどの分野でのトップシェアを狙うかを考えるのは重要かもしれません。
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