バリュー投資法
バリュー投資法は、短期感に必ず大金持ちになるものでもなく、株価がぐんぐん上がる魔法の投資法ではない。
これは、長い目で見て、堅実に資産を増やしたいと考えてる人にとって良い投資法です。
−バリュー投資法
一言でいうと、本来の価値よりも低く評価されている割安な株を狙って買い、その評価に他の人が気づいたときには株価があがって利益をだせる投資法。
株式投資で成功するには、自分の方針を信じ続ける精神的な強さを持つことが大事。
−まず3銘柄くらいから始めるのがおすすめ
この方式は果報は寝て待てです。基本は長期保有で資産を増やすこと。
売買をするなら株式指標をみなければならない。
PER=株価収益率 1株あたり、利益の何倍になっているかをあらわす指標。
PERが10倍ということは、株価が1株利益の10倍の水準にあるということ。
テクニカル分析=チャートのかたちから相場の上げ下げや流れを分析して予測することで、将来の株価を読み取ろうとするもの。
グロース投資=ある会社の成長性や収益性に着目して、業績の伸びが期待できそうな銘柄を選んで投資するやり方。
会社は現金、預金、土地、建物の資産をもっている。
①流動資産=現金や預金、有価証券のように現金化しやすいもの。
②流動負債=一年以内の返済が必要な支払手形、買掛金、借金
③固定負債=一年以内の返済がない借金
①ー②=純流動資産
①ー②+③=解散価値、これを正味流動資産
会社が解散したときの価値がこれ。
解散価値が1株2万円なのに、株式市場では1万円という会社がある。これを買うのがバリュー投資法
1株あたりの、正味流動資産と株価の比率が
1対3分の2以下となっているような銘柄に分散投資すればよい。
例 解散価値300万円→200万円で買うのがちょうどよい
−安全域の重要性を知っておく
安全域は、待ち合わせ時間と同じ。ぎりぎりに到着するのではなく、15分前にはついて遅刻すらリスクを避ける。これが安全域。
1株最低1200円の価値がある株式が800円で売られていたら、この差が安全域となる。
この安全域が大きければ大きい銘柄を見つけることができれば、利益を得られる可能性が高い。
■株式益回りで国際の金利と比べて大きい銘柄に注目
−収益面から会社の内容をみる
これまでは資産面からの安全域をみてきたが、収益面からの安全域もみることができる。
収益面から割安かどうかみるときは、PERがつかわれます。
PER=株価が1株利益の何倍の水準にあるぬかということを示す。
例えば1株利益が100円の銘柄の株価が1000円だとすると、PERは1000/100と計算するので10倍となる。
PERは低いほうが割安なので5倍と10倍では5倍のほうが割安なとなる。
PERは株価に対して、1株あたりどれだけの利益を上げているのかという見方もある。これを株式益回りといい、株価が1000円で、1株あたり利益は100円のというときは、100/1000×100で10%が株式益回りとなる。
益回りのとは、銀行でいう利息である。
預金では、0.03でも株式では10%くらいの益回りの銘柄は少なくない。
では、収益に対する安全域とは国債の2倍の安全域をみておくこと。
EPS(イーピーエス、Earnings Per Share)とは、日本語では「1株当たりの純利益」と訳される。EPSは、1株当たりの最終的な当期純利益がどの程度なのかを示すもので、企業の収益力を判断する際に活用される。EPSの数値が高いほどその企業の収益力が高いと見ることができ、EPSの数値が低いときは企業の収益力も低いと判断することが多い。
EPSは、当期純利益を発行済み株式数で割って求める。この場合の当期純利益とは、すべての収益から法人税などのコストを支払ったあとの純粋な企業の営業活動による利益を指している。損益計算書では、税引き前当期純利益から法人税等調整額を差し引いた数値を記入する。
例えば、税引き前の当期純利益が3億円、法人税などのコスト合計額が1億2000万円、発行済みの株式数が300万株である企業の場合、
EPS=当期純利益÷発行済み株式数
=(3億円-1億2000万円)÷300万株
=1億8000万円÷300万株
=60円
EPS、つまり1株当たりの純利益は60円と計算することができる。
−基本はPERで10倍以下のものを買っていく
長期間の国債利回りは約5.5%になるそう。そうすると2倍の安全域をみると10%以上の株式益回りとなるわけです。
■バリュー株は分散投資に向いている
−市場リスクに強いのがバリュー投資
バリュー投資はもともと会社の価値よりも株が大幅に低い銘柄を買うので株価の下値不安がとても低い。銘柄数が増えるにしたがって利益が損失を上回る確実性が増す。
市場外リスク
例えばが電力会社株をもっていて、原発事故がおきたら株価が給楽すること。
バリュー株をすべて保有することは、かなりの資金が必要になるので、8銘柄以上に分散することをおすすめする。
−マイナスになる年があっても腰を据えて構える
市場リスクが少ないといってもマイナスになる年はある。10年20年をではなく、さらに長い目でみるのかバリュー投資です。
■バリュー投資は個人投資家になぜ有利なのか
−倒産しないような会社を選ぶことが肝心
シーゲル博士
国債に投資するよりも、株式に投資するほうがリスクはなく、リターンがとても大きい。
■元本を確保する投資をする
−最終的に価値を上回ればよしとする
ポートフォリオの中に元本割れしている銘柄があったとしても構わない。それでも全体で利益がでてればよしとする。
一つの目標は、平均20%くらいの年平均利回りが達成できることが目標です。
■株式投資はその会社の一部を買うという意識を持つ
−会社の利益や資産を十分に把握して投資する
株式を買うことは、競馬で馬券を買うこととまったく違う。
株式は会社の所有権の一部を買っているのだという認識で投資すること。
ある会社の株を買うときは、これを買えば明日上がるとか、サガルなどの認識はもたない。
会社の一部を買収、売却する認識でいること。
■福利の力を利用して大きく増やす
−20%で20年運用すると元本は32倍となる
もしも元本100万円を年利20%で運用したら10年で516万円、20年で3295万円、30年で2億になる。
福利で運用されるので、追加投資しなくてもお金がお金を生んでいく好循環になる。
■バリュー投資に必須!財務諸表の読み方
−割安株は財務諸表から読み取る
株式投資をするには、それなりに準備が必要だとバフェットはいっている。
割安株を買うには、賃借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書をきちんと分析すること。
財務諸表を理解するための本は、
私でも面白いほどわかる決算書がよい。
−優秀な投資家は、より詳しく財務諸表が理解できる
会社の経営状況や体力は財務諸表にあらわれます。
財務指標を理解できれば、元本を保全してリターンがきたいできる銘柄に投資できると信じている。
■賃借対照表から会社の体力を判断する
−ある時点での会社の体力を数字で示したのがB/S
会社の経営成績である損益計算書P/Lとともに、大切なのが、財政状態です。
設備の製造、原材料購入、雇用などの企業活動には資金が必要になる。会社はこうした必要なお金を株主が出資したり、儲けたお金(株主資本)のほかに、銀行などの、借入金や社債などを発行して、調達し事業を行う。→すなわち、借金、負債。株主資本はじこしほともいい、負債は他人資本といわれる。
このように自己資金や借金によって調達した資金をどのように運用しているか、ある時点であらわしたものが賃借対照表B/Sである。→3月31日
損益計算書P/Lが一年間の成績表
賃借対照表B/Sは、一年たった最後の日に身長、体重、などの「体力」をあらわしたもの。
−一定のルールで資産と負債が表記されている
流動資産は、現金化しやすい資産から順に並んでいる
もし、万が一会社を解散したときには、上位にあるものは現金化する際に目減りしにくくなっている。
固定資産は、必ずしもB/Sの評価通りには現金化できない場合がある。
流動負債は、上位にあるものから返済順位が高い
固定資産はいずれ返済期限がくる
−会社の安全性は株主資本比率で判断する
元本が保全生態学されるかどうかみるときは、BSはかかせない。
株主資本比率が高いということは、返済する必要のない安定したお金をたくさんもっているということ。
金利を支払う借金が少ないということ。
原則60%以上の株主資本比率がある会社の株か目安。
−財務体質が悪い会社は株価が低い
株主資本率が低いということは、負債が多いということ。
■損益計算書は儲かっているのかどうかをみる
−P/Lからは4つの利益がわかる
損益計算書は、その会社が一年間事業を行った結果、どれくらい収益をあげて儲けることができたのかをあらわす。
−営業利益を見ると本業が順調か、どうかわかる
①売上高ー仕入れ=売上総利益(粗利益)
もしも、売上総利益が赤字なら、事業をやればやらほど赤字ということになる。
②売上総利益ー宣伝費、一般管理費=営業利益
③営業利益以外の収益=営業外収益
④営業利益+営業外収益=経常収益
→その会社の全体の儲け
⑤金融収支に注意が必要→財務活動の成果
受取利息、支払利息、割引率などをひいて求める。
株主資本比率の低い会社はどうしても利払いが多く、金融収支のマイナス幅が大きい。
営業利益は増えているのに、経常利益が減っている会社は、金融収支のマイナス幅が大きいということ。
これに対して、手元資金が潤沢で有利子負債が少ない会社は金融収支が黒字になり、株式投資の優先順位は高い。
−純利益がかさ上げされてないかをきちんとみる
4つ目の利益である当期純利益は、
経常利益+特別利益−特別損失−税金
最終的に会社の手元に残る利益である。
特別利益=土地や有価証券などの資産を売却したときに帳簿の価格よりも高く売れたときの利益。
反対に、低く売れたときは、特別損失
PERなど、株式投資の指標を計算するときは、当期純利益をつかいます。
当期純利益が黒字で、その数字だけをみていると実は経常利益が赤字だった場合は、土地などの売却で一時的に黒字だっただけで、評価することはできません。
会社は事業を行い、儲けて株主に還元することが使命です。そこで、本業が不調でも、資産を売り切りして当期純利益を黒字にして、配当のための原資を得て、儲かっていると思わせたいのです。
■キャッシュフロー計算書で現金を稼ぐ力をみる
−本当に現金を稼いでいるのかわかる
増益を続けている会社は高く評価しますが
P/Lだけをみて増収だからと短絡的に考えないで、キャッシュフロー計算書をみて、本当に現金を稼いでいるのかをみることにしています。
キャッシュフロー計算書は、P/LやB/Lと違い、現金が入った時はプラスで、現金がでたときはマイナスで表示されます。
−営業キャッシュフローは黒字が一般的
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
の3つからなる。
単にキャッシュフローというと営業キャッシュフローを指すが、
一年間営業を行った結果、どれだけ現金を獲得できたか?を示す。
したがって、営業キャッシュフローは黒字を示すのが一般的。
−投資キャッシュフローは投資をすれば赤字が普通
投資キャッシュフローは設備投資、株式投資など、投資に伴う現金の収支を表している。
事業内容が伸びている会社は、投資に関する支出はどうしても多くなります。会社が事業を継続するためなは設備投資は欠かせない。
投資キャッシュフローはマイナスになるのが普通。
投資キャッシュフローがプラスの会社は、投資に使用する現金よりも、有価証券や土地を売却してそれ以上の現金を得ている。
このような会社は、不採算がありとにかく現金化するための手を打っている。
−借金を返すと財務状況キャッシュフローは赤字になる。
財務キャッシュフローは、
歌舞し発行による収入
自己株式の取得による支出
配当金の支払い
社債の発行や借り入れによる収入
社債の償還や借入金の返済による支出
が該当する。
財務キャッシュフローは、営業活動や投資活動を支えるもので、会社の資金調達活動において、どれだけ資金の余裕があるのか見れる。
会社が大きな投資をすれば、投資キャッシュフローはマイナスになる。それを営業キャッシュフローで賄えればいいが、たいていはそうはいかない。
社債を発行したり、借入金を増やしたりして資金を調達するから財務キャッシュフローはプラスになる。
営業キャッシュフローの赤字を財務キャッシュフローで賄うこともある。
■有利子負債の額と比率に注意を払う
−借金は悪いことでないが多いと問題がある
株主資本比率の高い会社は、返済する必要のない安定したお金をたくさんもって事業を行っているので、財務体質は良く、収益性も高いことから倒産のリスクが低い。投資には最適である。
有利子負債
会社が事業を伸ばす上で、有利子負債はかかせないが、投資によって売上が増えて利益もフェルトという好循環が、なければ財務面が悪化することになります。
→前年度よりも有利子負債が大きく増えている会社は要注意
一般に考えレば株主資本率が高い会社は負債が少ないということになりますね。
しかし、有利子負債にあたらない、支払手形、買掛金、未払費用、未払い法人税、これらもBS上では負債と、されている。
私が有利子をチェックするときは、前年度と比べて金額が増えているかどうかをみます。
次に総資産のなかでどれだけ有利子負債があるのかをみます。
有利子が増えていたとしても、会社の体力も大きくなっていればその会社が負担する有利子負債の大きさもちがってくる。それを見るのです!
有利子依存度が増えていなければ財務は健全である。
■解散価値から割安株を見つける
−会社の価値を解散価値で判断する
会社を解散すると、会社の株主は保有している株式数に応じて、会社財産を分けることになる。
なので、解散して得られる現金が、株式を取得したときより、多かったら儲けることができる。
したがって会社の解散価値を知っておく必要がある。
株式市場が低迷していたときなど、解散価値を下回る銘柄がたくさん売られていた。絶好のチャンスである。
−PBRから株が割安かどうかがわかる
PBR(株価純資産倍率)で割安かどうな判断できる。
会社の解散=資産をすべて売り払い、その代金で負債をすべて返済したあとに残るのが純資産となる。
資産=負債+株主資本だから
純資産とは、株主資本となる。
この純資産を1株あたりに計算して、株価を1株あたり純資産で割ったのがPBRです。
PBRが0.5倍以上、負債がほとんどなく、かつ時価総額と比べて現金の保有率が大きければ、株価が解散価値を下回る可能性は高い。
1株あたり純資産が500円の会社があるとする。
その会社の株価が1000円だとしたら、
PBR=1000円/500円で2倍となり、割高となる。
これが250円であれば
PBR=1000円/250円で0.5倍となり割安となる。
PBRは、割安か割高かの判断をするための材料に留めておくとよい。
会社を解散するとしたら、負債は返さなければなりませんから、下記の写真だと
解散価値=流動資産ー負債で計算します。
280億ー130億=150億が解散価値となる。
固定資産は、換金してもお金になりにくいので、グレアムは無視している。
グレアムが固定資産を無視するのは、手形や在庫は目減りする可能性があるので、これの補填を固定資産の価値でするように考えている。
投資有価証券は、株式や債権が含まれている。固定資産の中に入っていても、非常に現金化しやすいです。市場で自由に売買できるロスの少ない資産です。
■ROEも銘柄を判断する基準のひとつ
−望ましいのは高ROEで低PER
投資家が会社の儲け度合いをみるのにもいろいろある。
売上高と比べる
前年度と比べる
1株あたりを比べる
さまざまな角度から多くの尺度を使ってみていく。
尺度のひとつとして
ROE(株主資本当基準利益率)です。
株主や投資家が投下した資本がどれだけの利益をうみだしたか?当期純利益を株主資本で割って計算します。
ROEがすくないということは、投下した資本で少ない利益しかあげられていない会社。多いということは、逆に資本を効率的に使って儲けている会社。
高ROE低PERの銘柄は、収益力があって割安だということ。
−コカ・コーラとコナミの高ROEの秘密
■確実に儲かるバリュー銘柄をどう選ぶか
バリュー投資で初めて組んだポートフォリオ
−最初は低PERの重視の銘柄を選ぶ
−株主資本比率の高い会社を狙う
株主資本率が高い会社は安全性が高い。安全性の高い会社を見つけようとする指標が
株主資本率=自己資本率
BS
借方には資産
貸方には負債と資本がありましたね、負債は他人資本ともいい、期限がくれば必ず返さないといけない。
これに対して資本は、株式市場から直接調達した資金と会社が活動した結果、蓄えられた利益なので
返済する必要がないお金です。
株主資本率は、総資本(他人資本+株主資本)で
割ったものなので、資本のなかで、返済する必要のない安定した資本がどれくらいあるか見るものです。
株主資本率が低いということは、負債の比率が高いので安全性が低いということ。
株主資本率は、60%以上をひとつの目安にするとよい。
−株主資本比率が60%以上の会社に注目する
自己資本比率が60%以上の会社というと、借金があったとしても、非常に少ないか、ほとんど無借金で経営ができている会社といっていいでしょう。
60%以上ならどこでもいいわけではない。
時価総額30億円以上の会社が基準となる。人によっては違うものの、自分の基準をつくることは、大切なことです。
■PERが10倍以下で配当金が長期国債の3分の2以上ある会社
−キャピタルゲインだけでなく高配当も狙う
PERが10倍以下の会社を撰ぶということは、収益に対する「安全域」を確保するということ。
株式投資には、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うやり方と、預金金利よりも有利であれば配当を狙うやり方があると一般的にいわれている。
キャピタルゲインを狙う投資は短期で売買を繰り返し、配当金を狙う投資は長期に保有するといわれている。
配当の利回りは、1株の取得価額に対して、配当金がいくらかということで、計算します。
1株の500円の配当金が6円としたら、
配当金の利回りは6円÷500円×100=1.2%が配当利回りとなります。
グレアムは、3分の2以上の配当利回りを、基準の1つだといっています。
10年もののアメリカの長期国債の利回りは3.6%なので配当利回りは、2.4%以上でなければならない。
日本は1.6%なので配当利回りは1.2%以上、ただしこれでは低いので2%以上としている。
■自社株焼却を過去に過去に行っている会社はポイントが高い
−自社株焼却をすると株主価値が高まる
私が機械的に銘柄を選ぶ時の基準に、「自社株買いをして、それを焼却している会社」というのがある。
例 ABS製作所という会社
この会社の株価は、1600円で1株あたり200円の利益をだしているとする。このときの時価総額は80億、80億あればこの会社をまるごと買える。
ところが、この会社は、キャッシュだけで80億をもっていた。キャッシュ80億の半分、40億を使って自社株焼却をおこなったとします。
今ある発行済の株式数の半分はなくなってしまうので、200円のだったのが、2倍の400円になる。
1株の価値が高まることになる。
割安に評価されている会社が積極的に自社株焼却をすると株主価値は高まります。
−自社株焼却は株数ではなく、比率で判断する
A社の発行済株式総数は1億株で、B社の発行済株式総数は1000万株とする。両者とも100万株の自社株焼却をしたら、どちらが評価されるか。
A社は1% B社は10%との比率となる。
この場合、すくなくともA社よりも、B社のほうが
株主のほうを向いて経営しているといってもよい。B者のほうが評価できる。
自社株焼却をおこなった会社に分散投資をしていれば、明らかに市場平均を上廻ることができたのです。
割安株で、かつ株主価値を高める自社株焼却をきちんと行っている会社の株は買いです。
■安全域を念頭において投資をする
−解散価値と株価との差が安全域
安全域とは、ベンジャミングレアムなあみだした概念です。
本来の価値と、売られている株価の差が安全域となる。株価が純流動資産の3分の2以下のときに買うという考えがあります。
流動資産ー流動負債=純流動資産
つまり、株価と純流動資産をひかくして、株価が3分の2以下ならば安全域だとうことになります。
−収益面から判断する安全域もある
安全域には2つある。
財務面の価値と株価の差
収益と株価
例えば、1株100万円の価値がある株が、110万円で売られていたら会社の価値と株価に差がないどころか、マイナスとなってしまうので安全域は存在しない。
一年間で1株あたり50万円の利益が出ていれば、一年経てば150万円の価値がある株となる。年を経るごとに株式価値がおおきくなれば、収益がもたらす安全域だといえる。
■ネットネット株に注目する
−アメリカでは、ネットネット株はほとんどなくなった
グレアムは
①時価総額が解散価値の3分の2以下の会社
②株主資本比率が60%以上の会社
③配当金が長期国債の2倍以上の会社
に基準を定めて分散投資をしてきた。
①の投資基準に当てはまる銘柄のことをネットネット株という。
グレアムはネットネット株に分散投資をするのが好きでした。
②ネットネット株はスクリーニングでみつける
東洋経済新報社の会社と四季報のCD-ROM版のソフトを使って、検索すると条件に、あった会社を抽出できる。
−ネットネット株に対する投資リスクは低い
2002年の時点で63銘柄でした。そのうち負けたのは15%ほど、10銘柄でした。
本来、市場平均に負ける確率は、50%あることを考えるとネットネット株に対する投資リスクはかなり低い。
■明らかに割安な株をどうやってみつけるか
−これまでと違う観点からバリュー株見つける
割安株見つけるには、財務面と収益面から判断していくことになるわけですが、バリュー投資が知られるようになって、日本ではネットネット株が見つけにくくなってます。
例えば、不動産屋が1200万円で売っている土地を買うと400万円くれるというのです。実質800万円でかったのと同じですね。
この考え方でコナミの株を買った。
1株1300円の時価総額は158億円
これだけ払えばコナミが購入できる。コナミのすべての負債を引いた現金性資産は48億円であり、これは時価総額の約30%となる。これが不動産を買うと買い手がもらえる金額である。
1株1300円で購入したけれど、30%をひくと、1株900円で買えたことになる。
−現金性資産の割安感をみせる
■流動性よりも財務体質のよい割安株を見つける
−割安株をみつけると小型株が多くなる
株式は発行済の株式総数によって大型株、中型株、小型株に分類される。
ちなみに、大型株は2億以上、中型株は6000万以上
小型株は6000万以下
今までは、とくに気にしてはいないが、条件に当てはまる株を見つけていたら小型株が多かった。
−小型株は個人投資家にとって有利な点がある
投資の世界では小型株効果といって、大型株よりも小型株をさのほうが利回りがよいという検証がされています。
大手のファンドには小型株を買ってはいけない規制がある。その分、個人投資家には有利になる。
大型株は、財務諸表が複雑でプロのアナリストにしか理解ができない。小型株は、プロのアナリストは注目せず、財務諸表も単純で、素人にわかりやすい。
−流動性が低くても財務体質に見合った評価がされる
流動性がなくても、財務内容がいい割安株ならば、それなりの評価がなされる。家宝は寝て待て。
■配当利回りのいい会社は割安株のサイン
−投資家の得ている運用利回りで配当の考え方が違う
例 A社は株主資本を一年間で確実に20%増やせる経営をしています。つまりROEを20%あげているということ。ひと株の利益が1000円だったら翌年は1200円になっている。
例 投資家のBさんは、運用資金を確実に一年間で40%増やすことができます。1000円であれば翌年は1400円になるわけです。
配当金と内部保留の関係は、理論的には投資家の会社の株主資本利益率のどちらが高いか決まっています。
■経営者の資質を見極めて投資する
−ヨーカドーの創業者 伊藤雅俊の考え方
しんの投資方針はきわめて明快です。
1つ目は投機しないこと、2つ目は株式を買うことは会社の一部を買うことと心得ること、3つ目は大きな安全域をもつこと。
その上で、PBRやPER、ROE、株主資本率などを自分の基準で判断しています。
伊藤氏は、上場で財産をつくれるとか、時価発行でただ同然のお金が入るとは考えなかったそうです。資本は投資家から預かった大切な元手で、それを運用して利益上げて元手を増やすと認識していたと書いてます。
−株主資本コストを考える経営者がいる会社に投資
会社の成長性や安全性を分析するひとつにEVAというのがある。economic.value.added
この考え方は、文字通り経済的付加価値という意味で、資本コストを上回る利益があれば、経済的に付加価値がつき、下回る利益しかあげられなければ経済的価値がない。
EVAでは、資本コストを考えて投資するのかどうかを判断基準にしています。
−ストックオプションを付与する会社には投資したくない
ストックオプションとは、会社が取締役や従業員に対してあらかじめ定められた価額で、会社の株式を取得する権利を与えるものです。
将来、株価が上昇したときに売却した場合に収益を得られるということ。
はたして、ストックオプションは本当にいいのか?
発行済株式総数が全部で10株あると考える。
会社の利益は1億円、ひと株のあたり1000万円
ところが、会社従業員にストックオプションを与えたとします。
そうすると、株式数が増えます。
その株数が10だとすると、総数は20株となる。
利益は1億円のまま、であれば1株利益は500万円となる。
これでは、投資家の利益が失われたことになる。
■事業の素質を見極める
−有形固定資産と在庫から事業素質を判断する
会社の業績を評価する方法には数多くのやり方があります。
売上に対してに利益がとれくらいあるのかを示す「売上高利益率」「ROE」「ROA」
事業素質は、「純利益÷(有形固定資産+棚卸資産)」で計算し、この数字が高ければ高いほどインフレになっても高い利益を、生み出せる。
−固定資産の負担が少ないと事業素質はいい
設備などは1億円で買ったからといってその年に全ての費用にすることはできません。毎年、少しずつ費用にすることを減価償却といいます。
例 減価償却の期間が10年の機械をかったとします。
減価償却には、
①毎年一定の比率で費用に組み込むやり方
②決まった金額を費用にする方法
1億円のうち、全体の10%は償却できないことに、なっているので、9000万円を10年間で償却します。
一年間では900万円ですね。機械の資産価値は一年間に900万円ずつ減っていくことになります。
減価償却の期間内にある機械には資産価値があり、減価償却費として費用として計上できます。
減価償却がすんだ機械は、いくら新品同様に動いても資産価値はほんとんどないとみなされる。
それにもう費用も計上する必要がありません。
つまり、ほとんど機械設備はをつかって利益をあげることができるのです。こういう設備で利益をだせるとしたら、インフレになってもきちんと出せるというわけです。
−在庫が少ないことは効率良い経営ができていること
棚卸資産が多いということは、作った商品、歯入れた商品が、売れてないこと。
棚卸資産が少ないということは、製品が順調に売れているということ。
ここでいう事業素質は、いかに少ない「有形固定資産」と資本効率のよい、「棚卸資産」でいかに多くの利益を上げているかをみるものです。
事業素質がいい銘柄は、すぐさま買いたくなるが、ほかの会社にとってもおいしい分野であるはず。新規参入のターゲットに、されやすい。
■短期勝負よりもむしろ中期の保有を考える
−バリュー投資の性格上保有期間は長くなることが多い
バリュー投資は、短期で繰り返すというより、割安株を買って他の人がそれを正当に評価してくれるまで保有する投資法である。
他の人が気づくまで時間がかかることが多い投資法です。
一日に何度も売買するような、いわゆるデイトレーダーにとっては、短期といえば一週間くらいの期間のこと。しかし、一年内は短期で、一年から10年までが中期、10年以上が長期だと思っている。
−短期間で上がれば利回りがいい
コバンザメ投資=ジャスダックや東証2部に上場している会社が東証一部に指定替えされるのを狙って、その銘柄を買い、上がったところで売って儲ける。
−バリュー株は適正な値段がつくと流動性がよくなる
バリュー株は流動性の低さが割安株のサインということもできます。すべてではないですが。
バリュー株はどうして流動性がひくいのか?
たとえば、現金3万円と2万円を交換するさびれた交換所があるとします。2万円で交換するほうを買い手、3万円で交換を希望する方を売り手とするとどうか?
これでは、いくら待っても売り手は、きません。
これを流動性が低いという。
株式の価値を考えると、このような銘柄は現実的にはまだあります。株式市場では、本来の価値とかけはなれた株価がついても取引が成立するものの、当然ながら、流動性が低いというわけです。
ところが適正価格がつくようになると、流動性がとたんによくなる傾向があります。
バリュー株は適正価格がついて、流動性がよくなるのに時間がかかります。
■バリュー株スクリーニングの基準はどう、考えるか
−割安で安全性が高く配当の高い銘柄を選ぶ
私がバリュー銘柄をスクリーニングするときの基準とするのは、次の条件を満たすもの。
自己資本比率が60%以上
配当金が長期国債の2倍以上
時価総額が「流動資産−負債+投資その他の投資」の3分の2以下
自己資本比率は借金が多いか少ないかを見分け、それが60%以上であれば、倒産することはない。
この条件でスクリーニングするわけです。
−自社株買いをやっているかどうかもみる
自社株買いを行ったことがあるか
PERが10%以下というのは、収益面でも割安株を買うという観点では理解できるかと思います。
問題は、なぜこれほどまでに自社株買いにこだわるのか。
株価が1株1000円で、時価総額40億円の会社があるとします。
発行済の株式総数にすると、400万株になります。
その会社の資産は現金だけで、100億円持っているとすると、ひと株のあたりの現金は、2500円ということになります。
そこで、手持ちの現金100億円の中から、20億円つかって時価総額の半分の自社株償却をおこなったとすると、発行済み株式総数は半分の200万株になります。
会社の現金は80億円になるものの、ひと株のあたりの現金は4000円になります。
自社株消却を大量に行えば、1株あたりの現金は大きく増え、それだけ株式の価値が高まることになる。
ですから、スクリーニングして、ネットネット株の条件にあっていて、大量に自社株消却を行っていて、現金性の資産を多くもっていれば、どんなに低成長な会社でもかまわないと思っています。
−スクリーニングででた数字にも注意を払う
スクリーニングでは、財務諸表をある程度読む力は必要です。
慣れてくれば、売上高利益率10%以上の会社を探したり、有利子負債依存度が20%以下の銘柄を探すなど、調べることができます。
■これから割安株をどう探すか
−市場全体の株価が下がったときが絶好の買い物
デパートでは、バーゲンセールをすると客が増加し売上も伸びます。
ところが、株式市場は日経平均株価が8000円だと市場の客が減り、12000,13000円と上がり始めると客が増える不思議な現象がおきる。
株式は安くなったときに仕入れ、高くなったら売って儲けるのが鉄則。
株価の下落は同じ価値の株を安く買えるチャンスとすること!
■パフォーマンスを知っておく
■こんなときには保有している株式を売る
−正直なところ「売り」のタイミングは難しい
売りは買いの3倍難しい。
2年間で2倍になったら「売り」
買値から2倍に上昇したとき
2年間たって1で決めた基準に達しなかったとき
配当金がなくなったとき
他に魅力的な投資対象が現れたとき
−事業素質がよくて経営者が優秀な会社の株は売らない
売らない基準は、
①経営者のレベルが高い
②ROEが20%以上
PERが上がりすぎたらどんな会社の株でも売る
PERが50倍、それ以上だといかにも割高です。こうなれば、迷わずに売りです。
以上
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